トラウマはなかなか消えずに心にこびり付いている。
ふとそんな不安が過ぎる。
トラウマを処理するのには苦労が絶えない。
このままトラウマを抱えながら生きていく一生は嫌だ。
しかし、現実的に言えば、トラウマ治療をするのは大変なのだ。
トラウマ治療はコストがかかる
トラウマ治療するのに、専門的なセラピストのもとで治療を行うにはコストがかかる。
- 高額な治療費
- 心身への労力
これでは就労していない複雑性PTSDや解離性障害を持った精神障害者が専門的なセラピーを受けるのは難しい。
トラウマ治療が保険適用され、自立支援医療対象にならないとトラウマを治療することは不可能だ。
一刻も早く、トラウマ治療を保険適用され、専門的なセラピストに出会うことが望まれる。
以前に比べたら変化している
時間が薬とも言われるが、本当にそうなのかもしれないと実感し始めている。
トラウマ体験から数十年が経ったが、トラウマ体験に対する見方が変化している。
もちろんそれまでは葛藤が続いたし、様々な症状に悩まされた。
それでも生き続けるということがトラウマ治療に最も必要なことなのではないかとすら思える。
生き続ければ、年を重ねて、トラウマ体験から月日が流れる。
様々な症状の中で、罪悪感や悲しみ、怒りなど、様々な感情を体験しながらトラウマへのとらえ方が変化してくる。
たとえば、わたしの母は虐待をして蒸発したが、最初は悲しみしか感じられなかった。
しかし、月日を重ねて、自分は何も悪くないと思えたり、母に対する怒りを感じるように変化した。
5年前、10年前より、トラウマに対する向き合い方は変化している。
これは事実なのだ。
回復とはなんだろうか?
よく精神障害の回復を「寛解」という。
病気が完全に治った「治癒(ちゆ)」という状態ではありませんが、病気による症状や検査異常が消失した状態を「寛解」と呼びます。
引用:寛解ー難病情報センター
トラウマからの回復というと、トラウマによる症状や困りごとが消失した状態ということだ。
トラウマ体験からの回復として心的外傷後成長(PTG)という言葉がある。
心的外傷後成長(PTG:Post Traumatic Growth)とは、トラウマティックな出来事に遭遇し、心に傷を負うような体験をしたとしても、それをきっかけにして、人間として心が成長していくことを言います。
心的外傷後成長とは:その考え方や要因、レジリエンスとの関係|(株)心理オフィスK
トラウマ体験をして、そのままではなく心が成長していくことを指すPTGの概念は理解できる。
しかし、本当にそこにたどり着く人は恵まれた人というのかもしれない。
たしかに本人の絶え間ない努力もあるだろう。
しかし、人やお金などを含めた豊富な資源を持ち、回復できる基礎体力がある人と言えるのかもしれない。
回復への道は果てしないのだ。
トラウマに苛まれている人は日夜関係なく、トラウマによる症状に苦しんでいる。
回復を目指したくても、難しい人が一定数、もしくはそれ以上いることは知っていてほしい。